遺言の役割

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遺言書の役割は最後の意思



遺言の役割
人生の終焉に臨むとき、人は何を思い巡らすのでしょう‥。残していく家族、成し遂げた仕事、果たせなかった夢…そして、現在自分が持っている財産や権利などは、どうすれば良いのでしょうか?

生涯をかけて一代で築き上げた、あるいは代々守り続けてきた財産等が有る人ならば…〈この財産を大切に受け継いで、もっと有用に活かしてくれる人に託したい〉‥などと、願いのでしょうね。

人が死亡すると、残された遺族が、その人が生前所有していた財産等(=遺産)を「相続」することになります。死亡した人は「被相続人」、その財産等を「相続」する人は「(法定)相続人」と呼ばれます。

そして、「被相続人」が所有している財産等の分け方(遺産分割)を、「相続人」に対して指定するものが「遺言」です。「相続人」は、「遺言」に従って遺産を「相続」することになります。

「相続人」の相続分の割合は民法によって定められていて、これを「法定相続」と言います。(民法900条)「遺言」が無いときは、この「法定相続」に従って、遺産を分けることになります。

民法 第九百条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。



例えば、子と配偶者が「相続人」である場合…〈子と配偶者の各相続分は、それぞれ2分の1〉となります。

遺産が、金融資産などのように《2分の1》できっちり分けられるものだけなら、問題は無さそうです。でも、土地建物や株式などは…価値が一定ではなく評価も抽象的で、気持ち良く(?)分けるのは難しそうですね‥。

また、「被相続人」が行っていた事業や農業の経営権なども、相続の対象です。これらの権利も相続財産(=遺産)として、「法定相続分」の通りに《複数の「相続人」》で分けてしまうと…その事業や農業の継続は、難しくなると思われます。

きっちり分けられるものも、分けられないものでも、「遺言」ならば…〈妻に自宅、長男に会社(経営権)、二男に預貯金、長女に株式〉‥など、遺産の分け方を具体的に決められます。家業などを、特定の「相続人」に承継させることも可能です。

また、「遺言」によって、「(法定)相続人」ではない人に遺産を分け与えることもできます。このことを「遺贈」といい、「遺言」を残して死亡した人は「遺贈者」、遺産を受取る人は「受遺者」と呼ばれます。

「遺言」とは、遺産に対する「遺言者」の意思を尊重して、その人の死後に実現させるためのものです。「遺言書」を残すことによって、自分が死亡した後の財産や権利の継承者を、自由に決めることができるのです。

つまり、「遺言」とは…〈「被相続人」または「遺贈者」(=「遺言者」)の、《最終的な意思表示》である〉‥と、言えるでしょう。

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