遺言の実際…遺言の日付

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遺言の日付…実際には



遺言の実際…遺言の日付


自筆証書遺言をさくせいしても、日付を漏らすと無効になってしまいます。それは最新の遺言を有効にするためには、いつの遺言かを明確にしないといけないからです。「○年○月吉日」はだめです。折角の遺言が無効になってしまいます。でも「昭和五拾四拾年」は有効となりました。

実際の裁判所の判断をみてみましょう。

■日付は自筆証書遺言の要件であるから,遺言書作成の日を明らかにする必要がない場合であっても,日付の記載がない遺言は効力がない。(大決・大正5年6月1日)

■「検認を経た(自筆証書による)遺言にもとづき遺贈による所有権移転の登記申請があった場合,添付の遺言書の日付が昭和26年5月とあり日の記載が欠除しているときは,右遺言は様式を欠く無効なものであるから,これを受理すべきでない。」(昭和26年8月31日民事甲1754号民事局長通達)

■元号を「正和」とした記載を「昭和」の誤記と認めて有効な日付記戴。「本件遺言書における……,日附の元号が「正和」と記戟されていることは前認定のとおりであるが,…・・・「正和」の記載は「昭和」の明らかな誤記として本件遺言のなされた日を特定するに足りるものといわなければならず,……日附の記載として有効であり……。」(大阪高判・昭和60年12月11日)

■「昭和五拾四拾年」なる年が存在しないことは疑いの余地のない当然のことであるが,その記載自体及び弁論の全趣旨に照らし,これが「昭和五拾四年」の誤記であることもまた明らかなので,右記載をもって特定の年月日の記載があると認めるにつき支障はなく,してみれば,右法律の趣旨に照らしてもこれを日付のないものとして無効とするいわれはない。(東京地判・平成3年9月13日)

■自筆証書による遺言書の日付は,常に必ずしも遺言書の本文に自書することを必要とせず,本文を封筒に納めて,本文の遺、言者の氏名の下に押した印で封印したうえ,その封筒に日付を自書することを妨げないし,その日付は数字で自書しても,日付の自書としての効力を有する(福岡高判・昭和27年2月27日)

■自筆証書三業を入れて封をした封筒の裏面のみに遺言者が日付を自書している場合において,右三乗の書面及び封筒の一体性を認め,自筆証書遺言の方式として要求される日付の自書があるといえる(東京高判・昭和56年9月16日)

■遺言者が,遺言書のうち日付以外の全文を記載して右遺言書を完成させたときは,特段の事情のない限り,右日付を記載した日に作成された自筆証書遺言として有効である(最判・昭和52年4月19日)

■自筆遺言証書に記載された日付が真実の作成日付と相違しても,その誤記であること及び真実の作成の日が遺言証書の記載その他から容易に判明する場合には,遺言はこれによって無効となるものではない(最判・昭和52年11月21日)。

■日付が「平成元年11月末」と記載されている自筆証書遺言について,右日付の記載は「平成元年11月30日」を表示したものとして,暦上の特定の日を表示しているものと解するのが自然であり,遺言者の合理的意思にも合致し有効である(東京地判・平成6年6月28日)。

■日付を「昭和29年9月吉日」とした自筆証書による遺言は,年月のみ記載があって日の記載のか、場合にあたるといえるから,民法第968条所定の日付の記載があるとはいえず無効である(高松高判・昭和40年6月10日)

■年月の記載はあるが日の記載のない自筆遺言証書は民法第968条1項にいう日付の記載を欠く無効のものである(最判・昭和52年11月29日)

■自筆遺言証書の日付として「昭和41年7月吉日」と記載された証書は,民法第968条1項にいう日付の記載を欠くものとして無効である(最判・昭和弘年5月31日)


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