遺言の訂正

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状況次第で柔軟に?〜遺言の訂正



遺言の訂正
「遺言」は、民法で定められている法律上の行為です。「遺言者」になるための資格要件があり、「遺言書」を作成する際は、方式の規定に従わなければなりません。厳格な定めをクリアするわけですから、「遺言」するにはそれなりの覚悟が必要ですね‥。

では、「遺言書」を作成した後で…〈やっぱり「遺言」を残すのはやめようと思う〉‥などと申し出たら、却下されてしまうのでしょうか?時が経てば、家族関係や環境が変わるなど、諸事情や心境・考え方の変化がありそうです。
また、「遺言者」が保有する財産や権利などの内容が大きく変わった場合には、訂正が必要でしょう。こう考えると、その時々の状況に合わせて、「遺言書」を書き直した方が良い場合も多いと思われます。

「遺言」の制度は、「遺言者」の《最後の意思》を、保護してくれるものです。民法は…〈「遺言者」は、いつでも「遺言」の方式に従って、その全部又は一部を取消すことができる〉‥と、定めています。(民法1022条)

民法(遺言の撤回) 第千二十二条  遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。


「遺言者」は、「遺言」を作成した後…様々な状況の変化に応じて、「遺言書」の内容を変更したり(訂正)取り消したり(撤回)することができるのです。〈「遺言」は、生涯一回限り!〉‥など、気負わなくても良いわけですね。(ホッ♪)

「遺言」の『訂正』をする場合には、「遺言書」に、訂正文と署名・押印をします。

まず、訂正する個所を二本線などで消し、訂正後の文言を記入します。その際、線で消した後でも、元の文字が判読できるようにしておきます。訂正個所は、《第二項》や《三行目》など、具体的に指定します。

そして、訂正個所に印鑑を押し、その横(欄外)または末尾に…〈三行目、−−字削除・−−字加入〉‥などと、訂正した旨を付記して署名します。(民法968条)
民法(自筆証書遺言) 第九百六十八条2  自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。


「遺言書」を作成するときと同様に、この方式に従わなかったり間違えた場合、『訂正』は無効になります。その「遺言」は、『訂正』が無いものとして扱われます。

「自筆証書遺言」は、『訂正』についても、全てを《自書》しなければいけません。訂正個所が多くなると、大変な(?)作業です。

「遺言書」を『訂正』したのに、『方式不備』のため『訂正』が無効になってしまうよりは…初めから、「遺言書」を書き直した方が良いのでしょうね。(大きなお世話?)

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