遺言の実際…遺言の撤回

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遺言の撤回と取消…実際には



遺言の実際…遺言の撤回


遺言の取り消しは認められているのですが、なにをもって取り消しなのか。どこが取り消しなのか。

実際の裁判所の判断をみてみましょう。

■金1万円を与える旨の遺言をした後,遺言者が右遺贈に代えて生前に金5千円を受贈者に贈与することとし,受贈者も又その後金銭の要求をしない旨を約したときは,遺贈は取り消されたものとみなすべきである(大審院判決昭和18年3月19日)。

■遺言者が,遺言の対象となった財産のうち土地の一部を第三者に売却し建物を取り壊した場合につき,民法第1023条2項による遺言の取消しが認められるか,ということが争われた事例民法第1023条2項は,遺言と遺言後の生前処分その他の法律行為とが抵触する部分につき遺言を取り消したものとみなす旨を定めたものであり,遺言と生前処分が抵触するときは,抵触する範囲において撤回されたものとみなされるのが原則である。また,民法第1023条2項の法意は,遺言者がした生前処分に表示された遺言者の最終意思を重んずるにあるはいうまでもか、が,他面において,遺言の取消は,相続人等の法律上の地位に重大な影響を及ぼすものであることにかんがみれば,遺言と生前処分が抵触するかどうかは慎重に決せられるべきである(最判・昭和43年12月24日民集23−13−3270)。これを本件についてみるに,売却した各不動産については,抵触する生前処分により本件遺言を取り消したものと見るべきであることはいうまでもないが,その余の部分については・売却した不動産と遺言に記載された不動産の面積の比率,被相続人が生前処分にいたった事情,被相続人と原告・被告らとの家族状況等の事実に照らせば,被相続人が本件遺言の全部を取り消したものとみなすことは困難である。してみれば,本件遺言は,抵触する生前処分によりその全部を不可分的に取り消したものとはいえず,その余の部分についてはいまだ有効と認めるが相当である(高松地判・平成6年2月18日)

■遺言による寄附行為に基づく財団設立行為がなされた後に,生前処分による寄附行為に基づく財団設立行為がなされた場合,右遺言が取り消されたものとみなされるためには,右生前処分の寄附行為が主務官庁の許可を得てその効果の生じたことを必要とする(最判・昭和43年12月24日)


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